2013年5月14日火曜日

The birth of a word - 言語習得の神秘


Deb Roy The birth of a word TED

言葉がどうやって習得されるのか。
以前書こうと思って書いていなかったテーマ
2011年に投稿されたTED動画でMITのデブロイは子どもの成長を9万時間にわたって絶え間なく撮影し、子どもの言語習得の過程を観察した研究について述べています。

"gaga"が"water"になる軌跡はなんともいえない素晴らしさがあります。半年間かけて実現した言葉の誕生です。

そしてその中で、言語環境も、子どもの成長に合わせて成長しているというのです。
いつも何気なく子どもにあわせて言葉を簡単にし、子どもが言葉を習得してから複雑にしていくという、フィードバックループが存在している。
人間の(言語習得に限らず)スキル習得の過程にPDCAがいかに自然なことか、ともいえるかもしれません。

以前第二言語習得論について書いたのですが
ただ勉強していても言語はできるようになりません。
(スキルは習得できません)
言語習得にはインプットの量が重要で、どんなに話そうとしてもインプットがなければできるようになりません。
耳から聞いて口からだすことがキーになります。

それに加えて、周囲の環境が自然とインプットの質を高めている(能力に応じて変えている)というのは驚きです。

さらに子どもの言語能力の発達には両親がどれだけこどもに話しかけたかが大きく影響することがわかっています。("Meaningful Differences in the Everyday Experience of Young American Children" Heart & Risely 1995)


Early Education for Allより
上記の実験では上流層、労働層、 貧困層の3層で子どもの言語発達がいかに異なるかを実験したもので
こどもたちが1時間当たりに耳にした言葉の数は上流層では平均2,153語、労働層では1,251語、 貧困層では616語であり、
3歳児のボキャブラリーはそれぞれ1,116語、749語、525語という結果が得られています。
(情報提供:シカゴ太郎さん)

「エチオピアの子どもたち」http://mohimohi-mohi.blogspot.com/2013/05/one-laptop-owe-child.html の時と矛盾していそうですが、親たちがなるべくコミットメントして子どもたちに話しかけるかが子どもの言語発達には重要といえます。
しかし、話しかけること、子どもの前で会話することが重要ですが、このとき「教える」ことが重要とはいっていません。大人たちはあくまで周囲環境として存在しています。むしろ子どもに積極的に言葉を聞かせるという行為は、子どもの会話する意欲を刺激して自発的な習得を促しているをもいえます。

例えばロイのプレゼンの中では母親が「water??」と問いかけ「Aaaa」と呼応している部分がありました。ここには「water(waterといいなさい)??」ではなく「water(お水が欲しいの?)」「Aaaa(お水ちょうだい!)」の会話が成り立っています。

ここには「Repeat after me」にみられる「教える」は存在していません。また、「water」問いかけと水がでてくるという一連の行為がwater = 水という体験知が蓄積し言語の習得に至っていることもわかります。


まとめると
・子どもの言語発達にはインプット量が鍵
・大人たちもそれを知っていて自然とインプットの質を高めている
・それは子どもに教えるという行為ではなくあくまで周囲環境

って感じですね。

それにしても言語習得の過程というものはなんとも不思議です。

今回はロイのプレゼンの後半部分には触れませんでしたがとても面白いのでぜひ見てみて下さい。
内容としてはコミュニケーションダイナミクスの可視化、といった感じでしょうか。

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独り言
今日はMBAみにいくど〜

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