2013年5月27日月曜日

【書評】どうせ死ぬなら「がん」がいい

シカゴから帰国2日目、時差ぼけを何とか乗り越えながら、朝5:00前には目が覚め夜18:00には眠い、そんな今日この頃。

シカゴにいた時に薦められた本を購読。


どうせ死ぬなら「がん」がいい (宝島社新書)
作者 :中村仁一
    近藤誠
出版社:宝島社
発売日:2012/10/09




「死」が以前に比べ遠くなっている。昔であればそれこそ死床を一家全員で 迎えることも多かったであろうが今は、福祉施設で看取られたり、独り孤独に死んでいったり、また、病院で死床に立ち会わせたとしてもその「死」の瞬間見ているのは顔ではなくモニターだったりする。

「死」が間接的で、他人ごとで、身近なものではないのが現代。だからいざ「死」に直面したとき、必死で抗い、治療しようとする。

本書にはこう書かれていた。そして続けて、

こうした延命治療が効果を上げる(実際に寿命を延ばす)ということは全くなく多額の治療費を払って徹底的に苦しめ、「死」を早めている。

このように述べられている。

本書を読むまで私自身、がんになったら抗がん剤治療をして、回復に一縷の望みを託すのが当たり前だと思っていた。

しかし、この本に書かれていることは全く逆である。

がんは自然な死に方で、しかも治療をしなければ苦痛も少ない。がんが痛みを伴う苦しいものというイメージは、抗がん剤治療始め、体に異物をいれることによる副作用が原因で、仮に治療や摘出手術がうまくいってもその後すぐに再発し、地獄のような闘病生活の中で死ぬことになる。一方、治療しなければ苦痛がないどころか、長く生きることができるという。

現在、後期高齢者医療費が医療費全体に占める割合はなんと67%、高齢者を含めるとなんと80%にもなります。
(厚生労働省、「平成22年度年齢階級別1人当たり医療費」より算出)しかも医療費の2割は死ぬ直前に使われているらしい。(本書より)これには非常にビックリしたとともに本書を読んで非常にやるせなくなりました。

何故なら、長生きできるのならさせてあげたいと思うのが人のさがですが、そういう思いで使われている大量の医療費と税金が実際はこうした人々の気持ちと裏腹に寿命を縮め、苦しめ、医療界を潤すために使われているからです。こうした話はあまり公にされませんが、医療を提供する側にとって不都合なのだからそれも納得です。

しかもがん検診を受けたがためにがんでの死亡率が上がるというデータもあり、日本では長野県の泰阜村でがん検診を止めたら死亡率が半分以下になったというデータもあります。(本書「がんの集団検診をやめたら、がん死が減った」を参照)

開いた口が塞がらない話の連続です。

シカゴにいたときに聞いた話ですが、アメリカでは優秀な学生はもう医者にならないらしいです。もう医療とう業界が限界がみえていて、しかも需要まで減り、お金にならないからだそう。日本ではまだ優秀な学生を医学部にいれたがりますが、恐らく今後20年ほどで医療費の8割になる高齢者医療は激減すると思います。なんせ医療にかかればかかるほど死ぬのが早くなるんですから。

でも医療が寿命を延ばしてるというデータもいろいろあるんじゃ??

データなんて切り取り方で全く違う答えが出てきてしまうんです。
本書であげられていたのは、抗がん剤の効果は腫瘍が縮小すれば「効果あり」で実際に寿命が延びたか、長生きしたかは全く関係無いということや新薬なんかは人間じゃなくてネズミなんかでも「効果あり」、治療の際に多くでる消息不明(用は転院とか)の患者のデータを「抗がん剤を使って生きた」とし、抗がん剤を使ってない人は全員時間が経って「死んだ」とされる。こういうカラクリをして必死に「治療する意味」を訴えているんですね。

ということで「不安をあおってファンを増やす」医療のお世話になんかならずに、死ぬときゃ自然と穏やかに死にたいもんですね。





どうせ死ぬなら「がん」がいい (宝島社新書)
作者 :中村仁一
    近藤誠
出版社:宝島社
発売日:2012/10/09

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